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最新パリレポート L'rapport de Paris-リアルなパリの情報をフリーライターの加納さんがお届けします-
Date:2013.03.25
Vol.60 | ピエール・マチューのガレット・デ・ロワ
1月末をもって、今年のガレット・デ・ロワの季節も終了。
今年もまた、フイタージュ生地&フランジパーヌのクラシック版を筆頭に、南仏風のオレンジフラワーを香らせた王冠型のブリオッシュ生地にフリュイ・コンフィをあしらったものや、フイタージュ生地にフランジパーヌではなく、マロンクリーム、ショコラクリーム、リンゴのコンポート、ピスタチオクリーム、キャラメルクリーム、小豆ペーストをあわせるなど、さまざまな味や形のガレット・デ・ロワがありとあらゆるパティスリーとブーランジュリーで披露された。
今回は、今年の独創性あるガレット・デ・ロワの中からとりわけ秀逸だった作品を紹介しよう。
パリきっての高級ホテルのひとつ、「マンダラン・オリエンタル・パリ」。2011年夏にオープンし、食部門でも非常に評価が高いホテルだ。
このホテルのシェフ・パティシエは、ピエール・マチュー。ボルドー出身で、京都と大阪にも出展したパリのトップ・パティスリー「ラ・パティスリー・デ・レーヴ」などを経て、26歳でこのホテルのシェフ・パティシエに抜擢された。
今年は、スタンダードではなくちょっとユニークなガレット・デ・ロワを提案した。
このホテルの朝食でピエールが提案するさまざまなヴィエノワズリーやケークの中でも一番人気なのが、ブリオッシュ・フイユテ。今年のガレットはフイタージュのかわりにこの生地を使った。
ブリオッシュ・フイユテは、ブリオッシュ生地にバターを織り込んだもの。ブリオッシュ本来のむっちり感にさっくり感が加わり、バターの香りがひときわ際立つ、非常にリッチで旨みたっぷりの生地だ。
2ミリほどにのばしたこの生地を、くるくるとロール上に巻いてから5センチほどの幅にカット。それを、ロール模様が見えるようにたてにして、丸型にマーガレットのように配置。休ませて膨らませて、丸いフイタージュ生地を重ねて焼き上げ、ひっくり返すと表面にびっしり渦巻き模様が浮き出た丸い形に焼きあがる。
これを二つにスライスし、自家製アーモンドパウダーで作るフランジパーヌとクレーム・アングレーズを混ぜ合わせたクリームをフィリング。表面にマロンシロップをナパージュして、はい完成。クープを入れずとも表面に模様がついた、こんがり美味しそうなガレットの出来上がり。
サクサクというよりザクッザクッというイメージの食感の生地をほおばると、口中にバターのよい香りが充満する。クレーム・パティシエールを加えて軽めに仕立てたフランジパーヌのクリームが、リッチな生地と絶妙なバランスだ。
フェーヴは、マンダリン・オリエンタル・グループのモチーフの扇型。王冠はこのホテルのチャームのひとつである蝶々をデザインに組み込んだ。
パリのホテルではごく珍しく、ここではパティスリーをテイクアウトできる。イートインのみならずテイクアウトでも、若き才能あるパティシエが提案した独創性あるガレット・デ・ロワを、多くの人が楽しんだ。
Information-レポートに出てきたお店などを紹介します。
- MANDARIN ORIENTAL http://www.mandarinoriental.co.jp/paris/fine-dining/
※新規ウィンドウが開きます
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加納 雪乃 Yukino Kano
フランスの食文化を専門とする、パリ在住のフリーのライター兼コーディネーター。インターネットでフランスのレストランについての情報を発信し、レストラン選択のアドヴァイスなどを提供。
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