最新パリレポート L'rapport de Paris-リアルなパリの情報をフリーライターの加納さんがお届けします-

Date:2013.11.18

Vol.68 | 注目パティスリーのビュッシュ・ド・ノエル

毎年9月になると、パリのパティスリーはこぞって、ビュッシュ・ド・ノエルの発表会を開催する。復活祭、母の日&父の日、ヴァレンタインデーなど、いろいろな歳時菓子があるが、やはり、クリスマスのビュッシュ・ド・ノエルは一番力が入っている。 注目パティスリーの、2013年ビュッシュ・ド・ノエルを紹介しよう。

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毎年、デザイナーとのコラボレーションビュッシュを発表し、そのゴージャスさと繊細なつくりで圧倒的な存在感を見せる、「ルノートル」。 今年は、アンドレ・ル=ノートルという、この店と同じ名前を持つ、ヴェルサイユ宮殿の庭を作った高名な庭師の生誕400年。それを記念し、人気庭師で”ガーデニスト王子“の異名をとる、ルイ=アルベール・ド・ブログリとコラボレーションした作品を発表した。 ルイ14世に使えた庭師ル=ノートルが見たら、感動すること間違いなしのビュッシュは、整然とした美しさをもつフレンチ・スタイル・ガーデンがテーマ。庭の上には、マカロンやマジパン、パートドフリュイなどで作った、剪定植木、ジョウロや麦藁帽子といったガーデニンググッズ、クロカンブッシュやアントルメ、クグロフなど「ルノートル」のアイコンスイーツがたっぷり飾られている。その細かな細工や手のかけ方は、大手ラグジュアリーパティスリーである「ルノートル」にしか出来ないだろう、と思わせる、工芸的価値もある大作。 そして美しさだけでなく美味しさも兼ね備えているのが、さすがは老舗名パティスリー。シュクセ生地に、プラリネ・フイユテ、ショコラクリームを重ねたお菓子に、スパイシーなトマトソースを添えて、あくまで庭へのオマージュを強く意識した作品だ。 http://www.lenotre.com/

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ラブリーという言葉が本当によく似合う「ラデュレ」は、今年も、かわいさ満点美味しさ満点のビュッシュ。 軽いショコラムースと、ココナッツを香らせたダクワーズ、パッションフルーツクリームで作ったお菓子を、靴下型にチョコレートでコーティング。6つの靴下は、マントルピースを思わせるエレガントなチョコレートオブジェに吊るされているかのように並べられている。 見ているだけで嬉しくなってしまうような、チャーミングなビュッシュだ。 http://www.laduree.com/

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毎年、背筋が伸びるような素晴らしいおいしさのビュッシュを発表する「ピエール・エルメ」。冬になるたびに、”なんて美味しいの!”と感動させてくれるビュッシュを発表し、パリジャンたちを感動させている。 今年の新作の中で、とりわけ注目したいのが、ビュッシュ“オムレット・ノルヴェジエンヌ・イスパアン”。 オムレット・ノルヴェジエンヌ(ノルウェイ風オムレツ)とは、生地とアイスクリームをメレンゲで覆い、メレンゲの表面を焦がした伝統菓子。ひんやりした内側と温かな外側の温度コントラストが楽しい。 ピエール・エルメの代表菓子”イスパアン“の味に仕立て、生地はフランボワーズのリキュールを香らせ、ライチコンポートを忍ばせたバラ風味のアイスクリームと、フランボワーズのソルベを重ねて、メレンゲで覆った。食べる直前にメレンゲに火をつけて焦がしていただく。 クリスマスのごちそうをたっぷり食べた後には、こんな軽めのビュッシュも捨てがたい。 http://www.pierreherme.com/

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ショコラの美味しさをとことん追求する、「ジャン=ポール・エヴァン」。今年は、25周年の記念イヤー。

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3種類のビュッシュは、アーモンド生地&ショコラムース&フランボワーズとスミレのジュレ、アーモンド生地&ショコラムース&パッションフルーツジュレ&コショウ、ショコラ生地&ショコラムース&クレームブリュレ。

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シンプルかつ美しく、なにより、ショコラの風味がどれも抜群。ショコラの達人による、ショコラの魅力を最大限表現したビュッシュたちだ。 http://www.jeanpaulhevin.com/fr/
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加納 雪乃 Yukino Kano

フランスの食文化を専門とする、パリ在住のフリーのライター兼コーディネーター。インターネットでフランスのレストランについての情報を発信し、レストラン選択のアドヴァイスなどを提供。

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