最新パリレポート L'rapport de Paris-リアルなパリの情報をフリーライターの加納さんがお届けします-

Date:2012.12.17

Vol.57 | 第18回「サロン・デュ・ショコラ」

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10月30日、第18回サロン・デュ・ショコラが前夜祭で幕をあけた。
10月31日~11月4日の日程で開催されるショコラの見本市。世界中から160ほどのショコラトゥリーが参加し、400人あまりのショコラティエ、パティシエ、キュイジニエ、その他ショコラに関係する人々によるデモンストレーションやカンファレンスが行なわれる。5日間で会場を訪れる人は13万人にもなるという。
今年のテーマは“新世界”。新しい風味、新しいショコラ消費地、新しい才能、新しい傾向などに強くフォーカスした。

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起源600年頃に、南米でマヤ人たちが始めたカカオ栽培。時はめぐり16世紀前後、コンキスタドールを行なったスペインを経由してカカオ&ショコラはヨーロッパに広がり、今や洗練された最上のショコラはヨーロッパを初め、アジア、北米、アフリカ、中東やロシア、そしてめぐりめぐってブラジルなどの南米でも高く評価されるようになった。
日本では、1990年代からフランスの最上のショコラに注目され始め、ここ10年で高級ショコラ市場はグンと拡大。サロン・デュ・ショコラも開かれるようになり、フランスのショコラティエもどんどん日本店を出している。パリの・サロン・デュ・ショコラにも、毎年非常に多くの日本からのバイヤーや愛好家が訪れている。

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さて、今や世界中で愛されるようになったショコラの最近の傾向は、というと、以下の通り。
まずは、“健康”。油脂分をカットしたり、砂糖の代わりにサッカロースなどを使ったり、オメガ3油を油脂として利用したり…。砂糖抜きショコラは「ジャン・シャルル・ロシュー」などでも出しているが、糖尿病の人たちにも人気だそうだ。

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“フェア・トレード”も昨今のキーワード。ショコラに限らず多くの食材・食品において意識されるようになってきている。「エス・コヤマ」でも、フェア・トレードのカカオを利用し生産者への支援を行なっている。
“ビオと自然”。これはすでに食業界全体で完全に浸透した傾向だろう。

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“風味の多様化”もここ数年の強い傾向だ。パティスリー界がモード界に刺激を受けて、春夏コレクションや秋冬コレクションを発表するようになったが、ショコラも夏には花やハーブのフレーバー、冬にはフリュイ・コンフィやマロンといった、季節感のある風味を出すようになった。また、旅行がもたらす外国のエキゾチックな風味のショコラへの組み込みも盛ん。ユズや抹茶、ゴマは今は定番となっているが、最近は桜、サンショウなどもちょくちょく登場。ネパールのコショウなど希少価値のあるコショウ、コンバヴァといった珍しい柑橘も人気だ。

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同時に“テロワール”への意識は変わらずに高いまま。サン・ドミニク、サオ・トメ、メキシコ、トリニテ、ヴェニエズエラ、ブラジル、ガーナ、マダガスカル、ペルーなどなど、ワイン同様土地の風土気候による特徴をピュアに強く打ち出すショコラは非常に多くなっている。

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毎年大人気のショコラ製ドレスのファッションショー。重鎮シェフ・パティシエ・ショコラティエたちはもちろん、若い才能あるパティシエたちをとりわけ多く招いたショコラ、お菓子、料理のデモンストレーションやカンファレンス。新作ショコラ・パティスリー本のサイン会。ショコラ愛好家クラブ(Club des Croqueurs de Chocolat)主催のショコラ賞。2年に一度開催される、パティスリーの権威あるコンクール“シャルル・プルースト杯”など、ざまざまなイベントが開催され、日々会場は甘やかさと楽しさで多いににぎわう。

Information-レポートに出てきたお店などを紹介します。

SALON DU CHOCOLAT
http://www.salonduchocolat.fr/accueil.aspx
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加納 雪乃 Yukino Kano

フランスの食文化を専門とする、パリ在住のフリーのライター兼コーディネーター。インターネットでフランスのレストランについての情報を発信し、レストラン選択のアドヴァイスなどを提供。

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