最新パリレポート L'rapport de Paris-リアルなパリの情報をフリーライターの加納さんがお届けします-

Date:2012.09.18

Vol.54 | ステファン・グラシエのお菓子学校

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数年前から料理教室ブームのフランス、特にパリ。世界的な不景気の影響か、家ごはんを楽しむ人々が増え、ちょっとこだわった自慢料理を家族や友人に振舞いたいという人々が増えているのだろう。
お菓子も負けてはおらず、料理教室でもパティスリーコースがどんどん幅をきかせている。今回はとっておきのお菓子教室を紹介しよう。

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ステファン・グラシエ。2000年にパティシエのMOFを取得しているパティスリー業界の重鎮の一人。2006年には、アメリカで行われたWPTCにフランスチームのコーチとして参加し、見事フランスを優勝に導いた。「ルノートル」、「ベルエ・コンセイユ」といったトップクラスの製菓学校で指導を行ってきた、いわばプロ中のプロの教授。その指導力は抜群と評判だ。
2008年にパリの西郊外コロンブにパティスリーをオープンさせた巨匠が、11年近所にお菓子学校をオープン、抜群の人気を博している。

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アマチュアとプロ、2つのコース。
アマチュア向きは、ヴァカンス時期を除き月に15ほどもの講座がプログラムされている。ステファン自ら授業を進めることもあるし、ステファンの右腕のパティシエが講師になることも。
デモが中心の1時間半からの短めのものから、3時間かけてじっくりデモ&実技を行うものまで、5種ほどの講座。親子で楽しめる講座や、前菜からデザートまでのコース料理を扱うものも。

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3時間コースの場合、前半は着席でステファンによるデモ。8~10人くらいのこぢんまりとした集まりで、間近にステファンの手元を見られ、随時質問も出来る。教え方に長けたシェフならではの、的を射たクリアで簡潔な指導が見事だ。

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後半は、プロ仕様のアトリエで実技。この学校の魅力のひとつに、一人一台作業代が与えられ一人で最初から最後まで製作が出来る点がある。ステファンらの指導を受けながら、デモでみたばかりの(そして味見したばかりの)シューやタルトを作り上げていく。間違いそうになると見逃さずに指導が飛び、どんなパティスリー下手の人もおいしく美しいお菓子を作れること間違いなし。個人的感想になるが、家でお菓子を作ろうと思うとたくさんの器具や場所が必要で片付けなども大変だが、ここでなら”作る“ことだけに集中でき、一瞬お菓子作りが上手になったような錯覚に陥れるのもご機嫌だ。
フランス語、英語のみの講座だが、専門用語だけ分かればフランス語でもついていけるだろうし、グループで貸切にして日本語通訳をつけて受講するのもいいだろう。

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プロ向けのフォーメーションは月2~5度開催。ステファン、彼の右腕のほか、外部の有名パティシエたちを招いてプロのパティシエの技術ブラッシュアップを行っている。

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居心地のよい高性能な設備の場所で、フランスを代表する実力派パティシエに手取り足取り教えてもらい、抜群においしいお菓子のレシピも手に入れられ、素敵なお菓子もお持ち帰りできる、満足度120%のお菓子学校。
パリから国鉄&徒歩で30分近くかかるが、わざわざ足をのばしていく価値がある。

Information-レポートに出てきたお店などを紹介します。

Pâtisseries et gourmandises l'école
20, rue Rouget de l'isle
92 700 COLOMBES
01 57 67 67 33
http://stephaneglacier-lecole.com/index.php?option=com_content&view=article&id=2&Itemid=1&lang=fr
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加納 雪乃 Yukino Kano

フランスの食文化を専門とする、パリ在住のフリーのライター兼コーディネーター。インターネットでフランスのレストランについての情報を発信し、レストラン選択のアドヴァイスなどを提供。

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