最新パリレポート L'rapport de Paris-リアルなパリの情報をフリーライターの加納さんがお届けします-

Date:2012.08.20

Vol.53 | 「ブレッド&ロージーズ」2号店について

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パリで最もシックで高感度なBIOブーランジュリー&パティスリー&エピスリー&トレトゥール&サロン・ド・テとして絶大な人気を誇っている「ブレッド&ロージーズ」。2004年4月にオープンした6区のリュクサンブール公園横の本店に続き、2010年2月には「エルメス」などが立ち並ぶ超高級ショッピングストリート、サン・トノレ通りからちょっと入った道に2号店をオープン。こぢんまりとした1号店に比べ、敷地は倍以上。レストランスペースは50席ほどと広く、外にはテラス席も16あり、さらにバースペースも併設しレストラン的要素に力を入れた店作りとなっている。

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パンは6区の店に併設されたアトリエで製作され、パティスリーや惣菜系は13区にあるアトリエで製作し、2軒の店に運ばれる。2号店には厨房も併設され、充実した料理を提供しているのが特徴だ。
ブーラッタチーズをたっぷり使ったサラダやセザール・サラダ、ヴェジタリアン用サラダなどのサラダ類が大充実。ブーラッタのサラダにはピマン・デスペレット風味のコーンパン、セザール・サラダにはシリアルパンといったように、それぞれの料理にあった味の自家製パンがついてくるのはブーランジュリーならではの強み。1号店でも人気のタルトやキッシュ、極上のイベリコハムの一皿などももちろん並ぶ。そして、牛肉のタルタル、チーズ・バーガー、フォア・グラ、シーフード・ミックスグリル、クラブハウス・サンドウィッチといった、手の込んだ料理が食べられるのがこの店の魅力だ。

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中でも注目は、昨今のパリで絶大な人気を博しているハンバーガー。(パリは今、空前のバーガーブーム。)飛び切りの食材を使う、というのが「ブレッド&ロージーズ」の絶対に譲らないポリシーだが、その心意気はハンバーガーにも投影されている。良質なフランス産牛肉に、フレッシュなトマトや最高級のピクルスとチェダーチーズ。肉に乗せた目玉焼きの半熟加減も完璧だ。バンズももちろん、この料理のために新しく開発した自家製。揚げたてのフリットをたっぷり添えて、オーソドックスなスタイルでおいしさを追求した飛び切りのバーガーだ。

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クラブ・サンドウィッチも負けていない。(余談だが、今年は、“サンドウィッチ”という言葉が初めて文献に載ってから250年目にあたる。)
店の人気パンのひとつ、イギリス風パン・ドゥ・ミを1.5センチほどの厚さにカットして軽くグリル。中に挟むのは、鉄板でグリルしたての鶏の胸肉、サラダ菜類、卵、トマト、そして特製ソース(内容は企業秘密)。厚めのトーストに、これでもか!とばかりにぎっしり詰まった具。ハンバーガーの堂々たるヴォリュームもそうだが、見るからにおいしそうで思わずゴクリとのどが鳴る。「ここでは、パティスリーも惣菜も、そしてアイスティーなどのドリンクまで含めてすべてが“たっぷり”。おいしいものを食する喜びを満喫してほしいのです」と、オーナーのフィリップ・タイユールは言う。

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見た目の期待通り味も抜群。「厨房スタッフには常に、ひとつのバーガーやサラダを作るたび、常に“パリ最高のバーガー”、“パリ最高のサラダ”を作っているという意識を持つよう指導しています」。言うは易く行うは難しだが、そういう職人気質の姿勢が常に安定したおいしさを生み出しているのだ。

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そして、6区店にはないバーコーナーも魅力たっぷり。サロン・ド・テ、ブーランジュリーのイメージが強い店だが、好事家のフィリップが選び出すワインやウィスキーのセレクションは下手な星つきレストランよりもずっと充実している。カクテルも13種取り揃え、バーコーナー用の軽食メニューも提案。BLTクラブ・サンドウィッチ(レストランスペースでは食べられない)、最上級のサーディン缶、生ハムなどをつまみに過ごす極上アペリティフタイムは、なんとも堪えられない。
月に一度くらいの割合でジャズコンサートも開催。通常は20時前に閉店だが、この日だけは22時~23時くらいまで生演奏とともにこだわりのカクテルと軽食を楽しめる。

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「値段設定は高めですが、その価値を持つ質が“ブレッド&ロージーズ”にはあります。ここにはリュックスというか、独特の心地よいスタイルがあるのです」というフィリップ。お客様とのカジュアルで親密感あるコミュニケーションとシンプルな雰囲気を大切にしつつ、独自性のあるリュックスなスタイルを組み込んだ「ブレッド&ロージーズ」。そんな店を支持する人々は多く、ランチタイムは大体3回転し、土曜日などは500もの料理オーダーが入るそう。
海外展開を含め今後の発展が非常に楽しみだ。

Information-レポートに出てきたお店などを紹介します。

Bread & roses Madeleine
25 rue Boissy d’Anglas 75008 Paris
01 47 42 40 00
8時~19時45分(土は10時~)
日休
http://www.breadandroses.fr/
※新規ウィンドウが開きます
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加納 雪乃 Yukino Kano

フランスの食文化を専門とする、パリ在住のフリーのライター兼コーディネーター。インターネットでフランスのレストランについての情報を発信し、レストラン選択のアドヴァイスなどを提供。

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