最新パリレポート L'rapport de Paris-リアルなパリの情報をフリーライターの加納さんがお届けします-

Date:2012.07.18

Vol.52 | エピスリー&ワイン・バー「レ・ヴァンダンジェール」

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おいしい場所が抱えきれないほどあるパリに、また1軒、お勧めの食スポットが誕生した。
フランス全国とヨーロッパ諸国の、上質な食材を紹介するガイドブック「コック・ドール」。毎年秋にこのガイドブックに掲載された見本市がパリで行われるのは、2009年11月に紹介したとおり。パリの高感度食材店でもなかなか見かけられず、このサロンでだけ買えるという商品も少なくない。食いしん坊心をくすぐる食材選びをする「コック・ドール」だが、先の3月、「コック・ドール」掲載商品を選りすぐったエピスリー(食材店)&ワイン・バーが誕生した。

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店の名は、「レ・ヴァンダンジェール」。直訳すると、“収穫者たち”。ワインぶどう収穫に主に使われる言葉だが、おいしいものを収穫する(=集めに行く)人たちが集う場、的なイメージを喚起させる。

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店内はバーカウンターを境に、エピスリーコーナーとワイン・バーコーナーに分かれている。
エピスリーコーナーには、150~200種ほどの「コック・ドール」掲載商品がずらり。重鎮料理人でブーダン・ノワール(豚の血のソーセージ)の王様と呼ばれていたクリスチャン・パラのブーダン・ノワール、シードルの名醸造家エリック・ボルドレのシードル、どんどん人気が高くなっているコンフィチュールメゾン、ラ・トランケリネットのコンフィチュールやコンポート、フランスが世界に誇る豚、ビゴール・ド・ノワールの生ハム…。そのほか、サーディン缶、トマトコンフィ、プル・オ・ポ(鶏の野菜煮込み)やガルビュール(南西部特産の野菜スープ)などの瓶詰め、マグロのはらみのオイル漬け、バスク地方名物アーモンドペースト菓子、スペイン特産のピキロス(小さな赤ピーマン)のタラペースト詰めなどなど、どれもこれも”うわあ、食べてみたい!“と思う食品ばかり。さらに、パンの巨匠ジャン=リュック・プージョランの田舎パンも販売。香ばしいにおいにそそられて、おなかがなること間違いなしだ。

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この店の魅力は、おいしい食材をテイクアウトできると同時に、店にあるものすべてがワイン・バーのスペースで食べられる点。ブーダンなどはこんがりグリルして、ローストしたジャガイモとバスク地方の名食材店ドゼのピプラード(トマトとピーマン、タマネギのバスク風に込み)を添えて、温かな一皿に。サーディン缶はかわいらしく空けて缶ごと皿に乗せ、トーストしたプージョランのパンともに。かぐわしいにおいを放つ生ハムはパスカル・ベイルヴェールのバターをつけながら。
ちなみにバターといえば、ジャン=イヴ・ボーディエがフランスの王様的存在だが、パスカルのバターも秀逸。アラン・デュカスやヤニック・アレノといった3ツ星シェフは、パスカルのバターのファンだ。ボーディエバターよりもキレがあり、エッジの効いた味わいのバター。パリに数件の店を構えているので機会があればぜひ味わってほしい。

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近所のブーランジュリーで仕入れるバゲットで作るサンドウィッチも7種用意。とびきりの生ハムとパスカルのバター、鶏の白身と自家製マヨネーズ、バスク風パテとコルニッションなど、トップ食材をぎっしりはさんだ極上サンドウィッチだ。
ワインは今のところ40種ほどだが、これからどんどん増える予定。毎週木曜日には生産者を招いて、ワインデギュスタシオンつきの夕食が開催されている。

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最高においしいものを、買う&食べる喜びを満喫できる、とっておきの食いしん坊スポット。日本へのお土産を探す場所としても最適。朝8時から24時までノンストップでオープン。ふらりと気軽に立ち寄れるのも嬉しい。

Information-レポートに出てきたお店などを紹介します。

Les Vendangeurs
6-8 rue Stanislas 75006 Paris
33 9 82 40 67 91
8時~24時
無休
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加納 雪乃 Yukino Kano

フランスの食文化を専門とする、パリ在住のフリーのライター兼コーディネーター。インターネットでフランスのレストランについての情報を発信し、レストラン選択のアドヴァイスなどを提供。

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