最新パリレポート L'rapport de Paris-リアルなパリの情報をフリーライターの加納さんがお届けします-

Date:2011.09.20

Vol.42 | 「ポプリーニ」について

photo1

日本人が一番好きなパティスリーと言えば、ショート・ケーキとシュー・クリームだろうか。
シュー・クリーム、フランス語だとシュー・ア・ラ・クレーム。いかにもフランスの国民菓子的に見えるこのお菓子、実はフランスで見かけることはとても少ない。この国の代表的シュー菓子は、シュー・ア・ラ・クレームではなくエクレールなのだ。
そんな中、パリにこの4月に、シュー・ア・ラ・クレーム専門店が誕生した。
店名の「ポプリーニ」は、1540年にパータ・シュー(シュー生地)を発明したパティシエの名前。フランスの食文化を一新したカトリーヌ・ド・メディチのお抱えシェフ・パティシエで、ガレット・デ・ロワの中身などにも欠かせないフランジパーヌも彼の発明だ。ありがとう、ポプリーニさん!

photo3

さて、パリきっての高感度エリア北マレ地区に誕生した「ポプリーニ」。キュートなピンク色が目を引く小さなお店のショーケースに並ぶのは、シュー、シュー、シュー、そしてまたシュー。

photo4

カラフルなグラサージュを施したポップな面持ちのシューは、常時11種。クレームパティシエールをベースにした、ショコラ、マダガスカル産ヴァニラ、塩バターキャラメル、レモン、ローズ・フランボワーズ、ミルクショコラ・パッション、プラリネ、ピスタチオ・グリッオット、カフェの定番9種に加え、週替わりで、ドラジェ、マロン・カシス、ヴァニラ・カリン、グランマルニエ、イチゴ・ライチ、アマレット、オレンジフラワーなど、ちょっと個性的な味がひとつ。さらに日替わりで、生クリーム&チョコレートクリーム&アーモンド&ジャンドゥージャといった、生クリームをたっぷり使ったタイプがひとつ加わり、ショーケースを愛らしく彩る。

photo5

一般的なシューよりひと周り小ぶりで、手に持ちやすいサイズ。一個だけ買って、散歩をしながらほおばるのも楽しいだろう。

photo6

「誰にも愛される典型的なフランス菓子なのに、あまり見かけないのが残念でした。もともとお菓子、とりわけシュー生地が大好きだったので、シュー菓子の王様シュー・ア・ラ・クレームの魅力を、かわいらしさをたっぷり出して紹介したかったのです」というのは、オーナーのロレンさん。
併設の小さなアトリエでは、朝から3人のパティシエが、レモンライムの皮をおろしたりクリームをたいたりと、シュー制作に大忙し。クラシックな味から、楽しい風味の組み合わせまで、いろいろな味を取りそろえ、色とサイズのかわいらしさも追求した、独創的なシュー作りを展開している。

photo7

スライド式のテイクアウトボックスもおしゃれで、マレという場所の雰囲気にぴったり。ケースの中で宝石のように鎮座したシューたちは、お持たせとしても大人気。パーティーに持っていくのも喜ばれるだろう。ひょっとしたらマカロンの立場を脅かす存在になるかもしれない。
女性客が多いかと思いきや、男性客の割合が半分以上だと言う。美しく美味しいものは、男女の区別なくその心を捉えるのだ。

Information-レポートに出てきたお店などを紹介します。

Popelini
29 rue Debelleyme 75003 Paris
01 44 61 31 44
11時〜19時30分、日は10時〜15時
月休
<< BACK NEXT >>

加納 雪乃 Yukino Kano

フランスの食文化を専門とする、パリ在住のフリーのライター兼コーディネーター。インターネットでフランスのレストランについての情報を発信し、レストラン選択のアドヴァイスなどを提供。

ページトップへ