最新パリレポート L'rapport de Paris-リアルなパリの情報をフリーライターの加納さんがお届けします-

Date:2011.07.19

Vol.40 | 「ル・カフェ・ボナパルト」について

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パリの街で最も文化的な雰囲気を放つ、サン=ジェルマン・デ・プレ地区。ランドマーク的存在のサン=ジェルマン・デ・プレ教会の傍には、「レ・ドゥ・マゴ」、「カフェ・ド・フロール」という、日本にも支店を持つ名物カフェが立ち並ぶが、「レ・ドゥ・マゴ」のすぐ奥、教会の斜め前に位置する「ル・カフェ・ボナパルト」も、このエリアきってのカフェの一つだ。

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19世紀にオープンした「ル・カフェ・ボナパルト」は、先に挙げた2軒の超有名カフェに比べると、一本奥の道に面しているため、雑踏から一歩離れた落ち着いた雰囲気。観光客よりも地元民や文化人が好んで足を運ぶカフェだ。3ヶ月間にわたって内装工事を行い、この5月にリニューアルオープンしたばかり。新装開店となったこの隠れ家的な名物カフェのおいしさを紹介しよう。

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カフェであると同時に、おいしい料理にもこだわっている「ル・カフェ・ボナパルト」。オーナーはノルマンディ地方に農場を持ち、食用牛の名ブランド、サレール種の牛を育てており、店で使われる一部の牛肉は、この農場のもの。また、リンゴ園も持っており、冬場にはこのリンゴ園で獲れたリンゴを使ったタルトを提供。店で飲めるシードルも、自家農園のリンゴで作ったものだ。

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メニューに載る料理には、BIO食材や減農薬食材を多用。カフェご飯の筆頭定番であるサンドウィッチは、豚肉加工品の名産地オーヴェルニュ産のハムとバター、コルニッションを豪快に挟んだ”ジャボンブール“に注目。塩が強すぎないハムの風味が甘いバターとベストマッチ。ブリゼ生地にクルジェットやナスなどをたっぷり乗せた”タルト・フィーヌ“は、コクのあるサン・ネクテールチーズを少量乗せてグラティネ。”クロック・ムッシューのプロヴァンスヴァージョン“(通常のクロック・ムッシューにトマト入り)は、モワザンの田舎パンを使い、パン形をそのまま生かしたスタイル。

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BIOサーモンとトマトを豪快に挟んだ”クラブハウス・サンドウィッチ“は全粒粉のパンドゥミで。店の名前を冠した”ボナパルト・サラダ“は、タルティーヌの上に、自慢のサレール種の牛で作ったローストビーフの薄切りを乗せた仕立て。手でも食べられるようにあらかじめカットしてあるのが嬉しい。ワインリストにもBIOものが多く、食に対する高い関心が感じられる。
「店の厨房は小さいし、カフェの料理は素早く出さなくてはいけません。上質な食材をシンプルに、そして早く提供、というのがこの店のスタイルです」と支配人のグザヴィエ氏。

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サン=ジェルマン・デ・プレの洗練された文化的な雰囲気に、どこかのんびりと気楽な雰囲気が同居する「ル・カフェ・ボナパルト」。お勧め時間は、昼前。南に面したテラスで太陽のぬくもりを感じながら外でいただく料理や飲み物は格別の味。教会を眺め、きびきびとしたサービスマンのサービスを受けながら、食材重視の料理を楽しめる場所だ。

Information-レポートに出てきたお店などを紹介します。

Le Café Bonaparte
42 rue Bonaparte 75006 Paris
8時~翌2時
無休
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加納 雪乃 Yukino Kano

フランスの食文化を専門とする、パリ在住のフリーのライター兼コーディネーター。インターネットでフランスのレストランについての情報を発信し、レストラン選択のアドヴァイスなどを提供。

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