最新パリレポート L'rapport de Paris-リアルなパリの情報をフリーライターの加納さんがお届けします-

Date:2011.05.16

Vol.38 | パックショコラについて

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クリスマスのビュッシュ・ド・ノエル、エピファニー(降誕祭)のガレット・デ・ロワ、カーニヴァルの揚げ菓子など、キリスト教の暦に関する歳時菓子は多いが、パック(復活祭)のチョコレートは、ビュッシュと並んで歳時菓子の中でも、もっとも重要な位置を占めている。 復活祭は、キリスト教の暦の中で、とても大切な日。十字架に架けられたキリストの復活を祝したもので、”春分の日を過ぎたあと、最初の満月の次の日曜日“であり、移動祝祭日。3月下旬から4月下旬の間で毎年変わり、今年は、4月24日になる。

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復活祭のお菓子と言えば、チョコレート。イースターエッグでもおなじみだが、誕生の象徴である卵をテーマにしたチョコレートが定番だ。多産の象徴であるウサギやめんどりのモチーフ、教会の鐘をかたどったものも多い。また、同じ時期に重なる4月1日のエイプリルフール。フランスでは、エイプリルフールは”ポワソン・ダヴリル(4月の魚)“と呼ばれるため、魚モチーフの復活祭チョコレートも多々見かける。

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パティスリー、特にショコラトゥリーにとっては、12月のクリスマスと並ぶ一大イベントの時期とあって、毎年、素敵な復活祭チョコレートが披露される。 かわいらしいタイプからアーティスティックなものまで、ファンタジーあふれる2011年の復活祭チョコレートを紹介しよう。

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MOF(フランス最優秀職人)の称号を持つ、チョコレートの巨匠「パトリック・ロジェ」。巨大なチョコレート彫刻を得意とし、彼のブティックにはいつも素晴らしい彫刻が飾られているが、復活祭商品も同じライン。繊細な羽をあしらった雄鶏&雌鶏が店頭に並ぶ。 こちらも、工芸的な繊細なチョコレートオブジェを得意とする「ジャン=シャルル・ロシュー」は、卵の殻を破って出てくるキリン。細い足の細工が見事なキリン単体の作品も登場。また、かわいらしいアヒルモチーフのオブジェも出た。

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老舗ショコラトゥリー&コンフィズリーの「ア・ラ・メール・ド・ファミーユ」は、チャーミングなフォルムの雌鶏と、殻から誕生した恐竜。春をイメージしたマーガレットをあしらったシンプルなチョコレートも登場。 チョコレートの巨匠「ジャン=ポール・エヴァン」は、卵のかたちを牛に見立てたオブジェチョコレート。中には、小さな魚型のチョコレートが詰まっている。真っ赤な魚型のチョコレートも、中にはミニチョコレートが潜んでいる。金の卵や銀貨をしょった雌鶏オブジェも美しい。 昨年ブティックを開いたばかりの「アバニコ」は、定番のミニサイズ卵型チョコレートの詰め合わせや、ミニサイズチョコレートを詰めた雌鶏。

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毎年ラヴリーな作品で我々を感動させてくれる「ラデュレ」からは、今年はクマをかたどった、パステルカラーのプラリネチョコレート。オリジナルのギフトボックスは、コレクターズアイテムだ。 高級ホテルもこのイベントに毎年参加。「ル・ムーリス」は、鶏にひっかけて、“鶏のココット蒸し”という、フランス伝統料理をモチーフに、鍋にホワイトチョコレートの鶏とマジパンの野菜を詰め込んだした実にかわいらしいオブジェ。 「オテル・デュ・クリヨン」は、モードをテーマに、”プレ・タ・クロケ“(プレ・タ・ポルテのもじり)。卵型で構成した女性型にホワイトチョコレートの衣装をまとわせた、食べるのが惜しいくらいの、手の込んだ美しいオブジェにしたてた。
長い冬が終わってようやく訪れた春を、甘い喜びで包んでくれる復活祭のチョコレートたち。春のショコラトゥリー&パティスリーの風物詩であるとともに、春の到来を告げてくれる。
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加納 雪乃 Yukino Kano

フランスの食文化を専門とする、パリ在住のフリーのライター兼コーディネーター。インターネットでフランスのレストランについての情報を発信し、レストラン選択のアドヴァイスなどを提供。

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