最新パリレポート L'rapport de Paris-リアルなパリの情報をフリーライターの加納さんがお届けします-

Date:2011.04.18

Vol.37 | ブーランジュリー「ゴントラン・シャリエ」について

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2010年12月20日、パリジャンが待ち焦がれたブーランジュリーがオープンした。「ゴントラン・シャリエ」だ。
ブーランジュリー&パティスリー一家の4代目として生まれたゴントラン。専門学校でパティスリーとパンを学んだ後、パリの3つ星レストラン「アルページュ」と「ルカ・カルトン」で修行。その後、ロシアを始め世界各国を旅してフランスに帰国。

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まずは、レシピ本の出版から、ゴントランの本格的なキャリアが始まった。本の成功に続き、テレビの料理番組出演、雑誌の連載などが始まり、一躍メディアの寵児に。現在では著書は10冊近くになっている。2007年にはコンサルティング会社「ゴントラン・シャリエ・コンセイユ」を立ち上げ、企業などにレシピ提供や商品開発協力なども積極的に行っている。

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職人としての才能に加え、チャーミングな顔立ちで、一躍メディアの寵児になったゴントランの店が誕生するのを待つ人々は多かった。そんな中、満を持して、という感じで、昨年末、ついに自身のブーランジュリーをオープンさせたのだ。
場所は、のんびり下町の雰囲気が漂うモンマルトルの丘のふもと。シンプルモダンな店構えの扉をあけると、クラシックなブーランジュリーの雰囲気に、コンテンポラリーなポップさを小気味よく混ぜ合わせた、居心地よい空間だ。カウンターも用意し、イートインも可能。

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商品を見てみよう。ハード系は10種弱。バゲットやシリアルバゲットなどの定番に加え、赤味噌を練りこんだセーグルパン、アプリコット&シナモン&ハシバミパンを入れた小麦粉パン、ひよこ豆粉にオリーブ、レモンコンフィ、エルブ・ド・プロヴァンスを混ぜ込んだもの、トウモロコシ粉&サーディン&コリアンダー入りなど、個性的なラインナップも。ちなみに、赤味噌セーグルには、生ガキ、フォア・グラ、ロックフォールやフルム・ダンベールなどの青カビチーズが合うという。

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これらのパン・スペショーは、基本的に大きなヴォリュームで焼き上げて量り売り。分け合う喜びを感じてほしい、とゴントラン。
この“分け合う喜び”は、ケークやタルトにも見て取れる。いずれも大きなサイズで焼き上げ、量り売りやカット売り。ブーランジュリーらしく、並べるお菓子は、ケークやタルトなど、室温で置いておける素朴なもののみ。「ブーランジェだからでしょうか、粉を使ったお菓子が好きです」と言う。

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ヴィエノワズリーも、クロワッサンやパン・オ・ショコラなどの定番に加え、ショソン・オ・ポムにはレモンコンフィを加えてさわやかさを演出、コルシカ島の強い味の蜂蜜を使うパン・デピスには、シナモンやナツメグ、グリーンアニスに、レモングラスや甘草を加えた、印象的な味わいのオリジナルブレンドスパイスを用意するなど、ゴントランならではの個性が光る作品が多々。フイタージュを強調し、軽めに仕上げたクイニ・アマンも秀逸だ。
その他、赤ピーマンやルッコラ、イカスミを練りこんだバンズを使ったサンドウィッチや塩味タルトなど、ランチ用の商品も充実している。

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「パンの魅力は、発酵。発酵している時のあの独特の香りがたまらなく好き。気温、湿度、粉の状態などの状態次第で、一日として同じ結果にならないパンは本当にミステリアス。そんなパンを扱う、ブーランジェという職業は、本当に驚くべき仕事。いつもワクワクしています。そんな素晴らしい職業の魅力を、幅広く啓蒙していきたい。テレビでは今、料理コンクール的番組が盛んで、それを見て、料理人になりたいという若者が増えています。ブーランジェにあこがれる若者が増えるように、私もテレビなどをもっと利用して貢献できれば、と思っています」。
オープンと同時に超人気ブーランジュリーの仲間入りをした「ゴントラン・シェリエ」。今もっとも注目されているブーランジュリーだ。

Information-レポートに出てきたお店などを紹介します。

Gontrant Cherrier
22 rue Caulaincourt 75018 Paris 01 46 06 82 66
7:30-20:30(日は19:30)
水休
http://www.gontrancherrierboulanger.com
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加納 雪乃 Yukino Kano

フランスの食文化を専門とする、パリ在住のフリーのライター兼コーディネーター。インターネットでフランスのレストランについての情報を発信し、レストラン選択のアドヴァイスなどを提供。

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