最新パリレポート L'rapport de Paris-リアルなパリの情報をフリーライターの加納さんがお届けします-

Date:2009.06.15

Vol.15 | ショコラ

photo1

クリスマスのビュッシュ・ド・ノエルやカーニヴァルの揚げ菓子など、フランスではキリスト教にちなんだ歳時記のお菓子が多い。中でも、クリスマスのビュッシュ・ド・ノエルと並ぶ2大イベントのひとつが、復活祭(パック)のチョコレートだ。

photo2

復活祭は、その名の通り、キリストの復活を祝う祭日。移動祝祭日で3月~4月の間の日曜日で、毎年日付が変わる。いずれにしても春の到来とともにやってくる祭日で、長い冬が終わった、うきうきした感じが伴っている。

photo3

この祭日の主役がチョコレート。クリスマスと同様、もしくはクリスマス以上にこの時期には、チョコレートが消費されるという。パティスリー、ショコラトゥリー、ブーランジュリーのショーウィンドーにはチョコレートがぎっしりだ。

photo4

“誕生”をイメージさせる卵型のチョコレートが伝統的で、どの店もこの時期は、小さな一口サイズのプラリネから大きな型抜きオブジェまで、実にさまざまな卵型のチョコレートを作る。卵と並んで、”多産“の象徴であるウサギ、雌鳥をかたどったオブジェチョコレートも人気だ。

有名なパティスリーやショコラトゥリーでは、毎年、ごく手の込んだ、崇高ともいえるような作品を披露するところも多く、食の専門誌だけでなく一般誌でも、今年の復活祭オブジェチョコレート一覧、などの特集が組まれるほどの注目ぶりだ。

photo5

パリの高級ホテルでは、シェフ・パティシエが腕を振るった、1メートル近くもの高さを持つ巨大な卵オブジェも見かける。パティスリーなどだけでなく、この時期にパリにきたら、ぜひ、リッツ・パリ、ル・ブリストル、ル・ムーリスなどのトップホテルのロビーをのぞいてみよう。

photo6

チョコレートが主役の復活祭だが、アルザス地方ではアニョー・パスカル(復活祭の羊)と呼ばれる、特性の型で焼いたかわいらしい羊の姿をした軽い生地のお菓子も登場する。
春の到来とともにやってくる祝賀気分満載の復活祭のチョコレート。フランスのお菓子風物詩の中でもとりわけ重要な位置を占めている。
<< BACK NEXT >>

加納 雪乃 Yukino Kano

フランスの食文化を専門とする、パリ在住のフリーのライター兼コーディネーター。インターネットでフランスのレストランについての情報を発信し、レストラン選択のアドヴァイスなどを提供。

ページトップへ