最新パリレポート L'rapport de Paris-リアルなパリの情報をフリーライターの加納さんがお届けします-

Date:2009.05.18

Vol.14 | クレープ

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クレープはフランスの代表的なお菓子のひとつ。家でも手軽に作れるし、街を歩けば屋台もあちこちに。フランスのストリートフードの一番人気だろう。クレープリーと呼ばれる専門店も多く立ち並ぶ。一年中食べられるクレープだが、2月はとりわけ“クレープの月”。普段より一段と消費量が伸びる。2月とクレープのかかわりを見てみよう。

まずは2日。ノエルから40日後のこの日は、シャンドレールというキリスト教の祝日。聖母マリアのお清め日で、クレープを食べる習慣がある。
続いて、マルディ・グラと呼ばれる謝肉祭の最終日。移動祝祭日である復活祭前の40日間は、肉や脂ものを排除した質素な食生活を行い、この40日間をカレームという。そしてカレームに先立ち、こってりしたものをたっぷり食べる一週間が謝肉祭(カーニヴァル)。その最終日をマルディ・グラといい、この日にもクレープを食べることになっている。また、カレームの中日に一日だけ、肉類や脂類を摂取してもいい日があり、この日も伝統的にクレープ日だ。

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クリーム色の丸いクレープは、太陽のイメージ。長い冬が終わりを告げ、春がいよいよ太陽とともにやってくる、という意味があったり、カレームの前に卵を使い果たすため、という説もある。また、春とともにはじまる農業の新しい季節を祝して、小麦の豊作やミルクや卵がたくさん採れるように、という願いがこもっている、ともいう。
この時期、家でクレープを焼くときには、片手にコインを持って片手でフライパンを持ち、クレープをひっくり返す。うまく返れば、その一年お金に困ることがない、といわれている。

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屋台のクレープも家で焼くクレープも、チョコレートペーストやコンフィチュール、砂糖などのトッピングをくるんで食べるのが通常。しかし、この2月から、高級ホテル「プランス・ド・ガール」のダイニング「ル・ジャルダン・デ・シーニュ」で、ユニークなクレープ・ブランチが始まった。

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普通のクレープとはまったく違う、ユニークなクレープ。塩味は、丸く切り抜いて焼いた牛ひき肉とサラダを挟んでハンバーガー風に仕立てたり、フォアグラなど普通のクレープではお目にかからない材料をくるんだもの。

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デザートは、茶巾風に仕立てたり、クレープシュゼットにシャンパーニュとコワントローのグラニテ(ソルベのようなもの)を添えたものなど、アイディアと贅をつくした、斬新なクレープを提供している。 土曜日のみの限定クレープ・ブランチ。ガストロノミーレストランが提案する優雅で個性的なクレープランチを楽しんでみるのも一興だ。

Information-レポートに出てきたお店などを紹介します。

Le Jardin des Cygnes
Hotel Prince de Galles
33 av. George V 75008 Paris
01 53 23 78 50
塩味クレープ、デザートクレープ、シードルのセットで32ユーロ
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加納 雪乃 Yukino Kano

フランスの食文化を専門とする、パリ在住のフリーのライター兼コーディネーター。インターネットでフランスのレストランについての情報を発信し、レストラン選択のアドヴァイスなどを提供。

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