最新パリレポート L'rapport de Paris-リアルなパリの情報をフリーライターの加納さんがお届けします-

Date:2009.04.13

Vol.13 | ラ・プチット・シャルプ

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エピスリーと呼ばれる食料品店は、日々の食卓に彩りを添えてくれる、おいしい店。ハムやパテ、生ハムなどの豚肉を中心とした肉の加工品、調理済みのスープや煮込み料理の瓶詰め、オイルサーディンやリエットの缶詰など、調理不要な、手軽に楽しめるおいしい食材がずらりと並んでいる。「ラ・プチット・シャルプ」も、そんなエピスリーのひとつだ。
 
店名を日本語に訳すと、“小さな漁船”。その名から想像する通り、ここは海の幸にスポットを当てたエピスリーだ。

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商品の主役は、ブルターニュ地方で作られる、オイルサーディンの缶詰。フランスでは、オイルサーディン缶は、手軽な食事の場でとてもよく利用される。スーパーマーケットに行くと、オイルサーディン缶のコーナーが充実しているのに気付くだろう。

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「ラ・プチット・シャルプ」に置いてあるオイルサーディン缶は、スーパーなどでは見かけない、小規模な手作り生産者の手による上質な製品ばかり。約80もの種類がそろい、オリーヴオイル、落花生オイル、菜種オイルなど各種オイルにつけたシンプルなサーディンから、トマトや唐辛子などで味をつけたものまで、実に様々なサーディン缶が並ぶ。

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サーディンのほか、サバやマグロのオイル漬け缶も並び、さらに、スモークサーモンやサバのスモーク、また魚のスープなども、質のよいものが並ぶ。

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さらに、ブルターニュ色を前面に押し出して、ゲランド産の塩、塩バターキャラメル、サブレ・ブルトンなども置いてある。冬になれば、産地直送の牡蠣も売る。 店内には4席だけのテーブルがあり、好きな缶詰を選んで、パンとバターを添えて、その場で食事を楽しむことも可能。ブルターニュ名物そば粉のクレープにスモークサーモンを挟んだもの、缶詰のリエットをパンに塗ったタルティーヌなども食べられる。

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あまりにも庶民的な食べ物で、とりわけ語れることがなかったオイルサーディン缶だが、職人が作るもののおいしさを再認識し、それをおいしく食べられるように啓蒙しているエピスリーなのだ。 ちなみに、オーナーのアラン氏が子供の頃に初めて食べたオイルサーディンは、缶から出したサーディンを、無塩バターと合わせ混ぜて、リエット状にしたものをパンに塗ったものだった、という。素晴らしく美味とのこと。試してみては?
オイルサーディンの食べ方は、缶から出して皿に並べ、サラダを添えて一皿にする、というのが、定番だが、バゲットやパン・ド・カンパーニュに有塩バターを乗せ、その上にサーディンを乗せて頬張る、タルティーヌスタイルで食べられることも多い。最近話題の高感度なビストロでは、缶に入れたままのサーディンを皿に乗せて提供し、グリルしたパン・ド・カンパーニュと、バター作り名人、ジャン=イヴ・ボーディエの海草入りバターを添えて前菜としてサーヴィスする、というところもあり、オイルサーディン缶は最近注目の食材だ。
 
パンのお供としてぴったりの、サーディンをはじめとする魚の缶詰。各メーカーにより味も違うので、いろいろ試してみて、好みの味と、それにふさわしいパンを探すのも楽しいだろう。

Information-レポートに出てきたお店などを紹介します。

La Petite Chaloupe
7 bd. de Port Royal 75013 Paris
01 47 07 69 59
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加納 雪乃 Yukino Kano

フランスの食文化を専門とする、パリ在住のフリーのライター兼コーディネーター。インターネットでフランスのレストランについての情報を発信し、レストラン選択のアドヴァイスなどを提供。

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