最新パリレポート L'rapport de Paris-リアルなパリの情報をフリーライターの加納さんがお届けします-

Date:2009.02.16

Vol.11 | ル・フィガロバゲットコンクール

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日刊紙「ル・フィガロ」は、食に関する独自のコンクールを時折行うことで有名だ。
先日紹介した、ジャンボンブール・サンドウィッチ(ハム&バターサンドウィッチ)や、ゆで卵&マヨネーズ、ステーク・フリット(牛肉ステーキ&フライドポテト)といった、日常的になじみのある食に関して審査を行っているが、この11月には、バゲットコンクールを開催した。

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パリ市が主催しているバゲットコンクールと異なり、ル・フィガロが取り上げたバゲットは、粉を厳選して伝統的な作り方で作り上げるレトロドールのようなトラディッショネルではなく、いわゆるベーシックなバゲット・オーディネール。トラディッショネルに比べて白くてフワフワしたタイプのものだ。
スタンダードなバゲットであるオーディネールの値段は、平均0.9ユーロ。今回も、0.9~1ユーロの価格帯に収まるもののみを選んでいる。ちなみに、トラディッショネルは1ユーロを超えるものがほとんど。中には、1.35ユーロという値段がつくものもある、という。
あらかじめ選んだ、パリの評判のブーランジュリーを20軒選択。1ユーロ以下のオーディネールをつくっている店のみを選んでいるので、トラディッションのみをつくるようになったり、作っていても1ユーロを越える値段をつけている、いくつかの名店が外れている。

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審査項目は、外見、匂い、食感、味の4項目で、各5点の20点満点。審査当日の朝、普通の客として購入し、数字をふってのブラインド審査となった。
優勝店は、12区のJacques Bazin。パリブーランジュリーガイドブックでも3つ星中2つ星を獲得している名店。2位は、ガレットコンクールやクロワッサンコンクール、そしてパン祭りのバゲット大会でも優勝をしている2区のRegis Colin。

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バゲット・オーディネールは、質の悪い工場製の進出などにより、1970年代くらいに、評判を落としていた。そこに台頭してきたのが、添加物のない粉、最低限のペトリサージュ、長時間の発酵、で作る、1930年代のバゲットに似た、バゲット・トラディッショネルであった。以後、トラディッショネルへの人気が高まってきてはいるが、これはやはり、いわゆるブランドもののバゲット。普通の人々が日々購入するバゲットは、今でもオーディネールが中心だ。
本コンクールの審査委員長を務めた、高名なブーランジェ、ゴントラン・シェリエによると、上質なバゲット・オーディネールは、形が均一で曲がっておらず、クラストは黄金色でいかにもおいしそうに、底面に焦げあとがない。麦の香りがして、軽い発酵臭(ただし、酸が強すぎてはいけない)、バターのような油脂の香りを感じることもある。クラムはたっぷり気泡が入っていること、という。
フランス人の日々の生活に不可欠なバゲット・オーディネール。トラディッショネルとの形や味の比較をしてみるのも楽しいだろう。

Information-レポートに出てきたお店などを紹介します。

Jacques Bazin
85 bis, rue de Charenton, XIIe. Tél. : 01 42 36 02 80.
Tlj sf sam. et dim.

Régis Colin
53, rue Montmartre, IIe. Tél. : 01 42 36 02 80.
Tlj sf sam. et dim.
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加納 雪乃 Yukino Kano

フランスの食文化を専門とする、パリ在住のフリーのライター兼コーディネーター。インターネットでフランスのレストランについての情報を発信し、レストラン選択のアドヴァイスなどを提供。

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