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最新パリレポート L'rapport de Paris-リアルなパリの情報をフリーライターの加納さんがお届けします-
Date:2008.12.15
Vol.9 | 第一回タルト・オ・ポム・コンクール
フランスの家庭で作るおやつ、デザートの代表といえば、季節のフルーツをふんだんに使ったタルト。空焼きしたタルトに生のイチゴやフランボワーズを並べたもの。イチゴは相性のよいルーバーブと一緒に焼きこむのもいい。アプリコットやモモ、ミラベル、イチヂクなどは、皮ごと焼いて、かんだときの果肉のジューシーさを楽しむ。そして定番の、リンゴや洋ナシのタルト。薄切りにした果肉を少しずつずらしながら並べて焼くのが伝統的だ。
とりわけリンゴのタルト(フランス語でタルト・オ・ポム)は、タルトの定番中の定番。家庭ではもちろん、ブーランジュリーやパティスリーでも、置いていない店はない、と言って過言でないだろう。
クラシックに、スライスしたリンゴを重ねて並べるものから、クラシックヴァージョンにシナモンやアプリコットシロップのグラサージュをかけたもの。
クラシックに、スライスしたリンゴを重ねて並べるものから、クラシックヴァージョンにシナモンやアプリコットシロップのグラサージュをかけたもの。
8つ割りほどの大きめにカットし、ジューシーさを残したやり方。そして、カラメリゼしたリンゴにタルト生地を重ねたタルト・タタンも、タルト・オ・ポムのヴァリエーションだ。
フランス人が大好きなタルト・オ・ポムだが、このほど、第一回タルト・オ・ポム・コンクールが開催された。主催は、ガレット・デ・ロワのコンクールも開催している、パリ市及び近郊各県のブーランジェを統括する組織だ。
全部で64人が参加し、経営者と従業員部門で審査。経営者部門の優勝カップは、パリ郊外サン・クルーで2年前から店を営むグレゴリー・パイキエット氏が獲得した。
同氏は、2003年にクロワッサン・コンクールと、高名なパティスリーコンクールであるマンダラン・ナポレオンにも優勝している、実力派だ。「リンゴのおいしさがタルト・オ・ポムの基本。私はゴールデン種のみを使います。薄くスライスしたリンゴを並べる基本形が、私にとって唯一無二のタルト・オ・ポム。このスタイルが、このお菓子の魅力を一番よく伝えていると思います。おいしく作るコツ?愛情を持ってタルトを作ることです」と語った。
定番菓子であるがために、そのスタイルにあまりヴァリエーションがなかったタルト・オ・ポムだが、革新的なアイディアを出したシェフがいる。ミシュランガイドブックで3ツ星に輝く、パリの「アルページュ」のオーナーシェフ、アラン・パサールだ。
ブルターニュ地方やノルマンディ地方に自家菜園を持ち、無農薬の野菜や果物を育てているパサール氏。自分の菜園で採れたリンゴを使い、“ブーケ・ド・ローズ”という名をつけた新感覚のタルト・オ・ポムを発表している。
スライスにしても大振りカットにしても、果肉を横に並べるのが常識だが、パサール氏は、その常識を覆し、薄くスライスした皮付き果肉をクルクル巻いて、バラの花の形に成形。それをタルト生地にギッシリ並べ、まるでバラの花束のような形にして、焼き上げる。花びらの縁に当たる部分はカリカリ、タルト生地に近い部分はとろけるようなジューシーさ。スライスを縦に置くことで、従来のタルト・オ・ポムでは実現不可能だった、新しい食感を生み出した。花束になった大きめのサイズのほか、一輪のバラだけで作ったようなミニサイズも提案し、デザートとしてもプチフールとしても楽しめるようにしている。
フランス人が最も多く消費している、と言われているリンゴ。そのおいしさを閉じ込めた、様々なタルト・オ・ポムを味わってみたい。
フランス人が最も多く消費している、と言われているリンゴ。そのおいしさを閉じ込めた、様々なタルト・オ・ポムを味わってみたい。
Information-レポートに出てきたお店などを紹介します。
- Gregory Paillette
- 3 parc de la Berangere 92210
Saint Cloud 01 55 39 31 31
- Arpege
- 84 rue de Varenne 75007
01 45 51 47 33
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加納 雪乃 Yukino Kano
フランスの食文化を専門とする、パリ在住のフリーのライター兼コーディネーター。インターネットでフランスのレストランについての情報を発信し、レストラン選択のアドヴァイスなどを提供。
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