最新パリレポート L'rapport de Paris-リアルなパリの情報をフリーライターの加納さんがお届けします-

Date:2008.08.18

Vol.5 | 第1回ミルフイユ・コンクール

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5月21日、パリ・パリ近郊パティスリー連合主催による、“第1回ミルフイユ・コンクール”が開催された。同協会は、以前からエクレール・オ・ショコラ・コンクール“を主催してきたが、今年から、エクレール同様、フランス伝統菓子の定番であるミルフイユにもスポットを当てることになった。参加者は、連合に属するブーランジュリー、パティスリーに加え、連合に加入していない職人とレストランのキュイジニエやパティシエも対象。60人が参加した。

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規則は以下の通り。

 

  1. 1.生地はフイタージュを利用(チュイルなどを使った“ミルフイユ仕立て”はNG、ということ)
  2. 2.大きさは、幅4センチ以下、長さ9センチ以下
  3. 3.表面は、グラサージュでも砂糖がけでもOK
  4. 4.中に挟むのは、クレーム・パティシエール
  5. 5.香り付けは自由

 

審査項目は、外観、フイタージュ、クリーム、味の4項目で、各10点の40点満点。審査員は12人。審査をした際の第一印象は、一口にミルフォイユといっても、実に様々な形態や味がある、ということだった。

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生地は3層重ねが主だが、4層に重ねたものもチラホラ見られ、2層重ねという作品もあった。表面は、薄いグラサージュ、5ミリはありそうな厚いグラサージュ、粉砂糖、キャラメリゼ、フルーツを飾ったものなど。
クレーム・パティシエールと規定されているにもかかわらず、ムース的な生クリームベースのクリームを入れたものも少なくない。 チョコレートクリーム&チョコレートフイタージュという作品も。

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レストランの参加と思われるが、パッションフルーツ&バーベナ、チョコレート&パッションフルーツなどの味を仕込んだクリームを入れ、凝った作りもの。
高さの規定がなかったため、わずか2センチほどの薄いものから、6~7センチもある巨大なものまで、大きさも様々。

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全体的な味の印象は、正直なところ、かなり残念なものだった。確かに、優秀なパティシエたちの参加はない。が、クロワッサンやガレット・デ・ロワのコンクールに比べ、その質の低さは明らかだ。 フイタージュはやわらかすぎるものが多く、カットするのにも苦労するほどのものもあり、バターの香りもあまりたたない。クリームは、アルコールを効かせすぎていたり、炊き方が美味くいかず、よい香りが出ていなかったり。これがミルフイユ?と頭を振る審査員も少なくなかった。

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フランス全国パティスリー連合の会長も顔を出し、「ミルフイユやエクレールのような基本菓子があるから、創造性豊かな菓子も発展する。基本菓子の大切さを忘れてはいけない」とコメントしたが、その言葉どおり、この菓子の大切さを、もう一度考えて欲しい、個人的に、そう思ってしまうようなミルフイユが多かったのが残念だ。
第1回目とあり、コンクール開催を知らないパティシエ、ブランジェも多かっただろう。来年は、より多くの参加者を得た、より質の高いコンクールになることを期待する。
結果:
  • 1位 Sylvain JOUBERT

    2 avenue de Verdun 95150 Taverny 01 39 60 21 22

  • 2位 Djamel TAGUEMOUNT

    1 rue Thiebault 95690 Nesles La Vallee 01 34 70 62 82

  • 3位 Stephane LELAN

    87 rue de Silly 92100 Boulogne-Billancourt 01 48 25 11 12

  • 4位 Yann DESGRANGES

    5 rue Perre Demours 75017 Paris 01 45 74 10 73

  • 5位 Anthony ROBERT

    68 rue Paul Vaillant Couturier 92240 Malakoff 01 46 55 07 97

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加納 雪乃 Yukino Kano

フランスの食文化を専門とする、パリ在住のフリーのライター兼コーディネーター。インターネットでフランスのレストランについての情報を発信し、レストラン選択のアドヴァイスなどを提供。

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