2016.2.15 update
vol.95
味も見た目もさまざま!フランスの新年を彩るガレット・デ・ロワ
フランスの新年は、ガレット・デ・ロワとともに始まると言っても過言ではない。
日本のように正月三が日がないフランス。1日こそ祝日だが、2日から通常の生活が始まる。そんな新年のハッピー・ニュー・イヤー!に続く賑やかな行事が、ガレット・デ・ロワを食べるシーンだ。
ガレット・デ・ロワを直訳すると“王様たちの平たいお菓子”。宗教的にはキリスト降誕を祝すエピファニー(公現祭)である1月6日に食べるお菓子だが、慣例として1月最初の日曜日から食べ始めることが多い。町のパティスリーやブーランジュリーは、1月前半、ウィンドウがガレット一色になり、1月の風物詩となっている。
ガレット・デ・ロワとは、フィユタージュ生地でクレーム・ダマンド(アーモンド・クリーム)やフランジパーヌ(クレーム・ダマンドとクレーム・パティシエール(カスタード・クリーム)を合わせたもの)を挟んで焼いた平べったい丸型のお菓子。
クリームの中にはフェーヴ(そら豆)と呼ばれる小さな陶器やガラスなどのオブジェが入っている。複数で(出来れば大人数で)分け合うお菓子で、フェーヴが入った一切れに当たった人が、その場の王様か王女様となって、ガレットを買うと必ず付いてくる紙製の王冠をかぶることができ、この一年良いことがあるといわれている。
1月中、ガレットを食べる機会は非常に多い。職場で、学校で、家で、友人たちと、、。何度も食べるうちにフランジパーヌ味のガレットばかりだと流石に飽きてしまうので、色々な味のガレットが存在する。チョコレート、りんご、柑橘といった味のヴァリエーションが多いが、キャラメル、コリアンダーなどのスパイス、マロングラッセなども。抹茶や餡が入った和系ガレットも、日本人のパティスリーやサロン・ド・テで登場している。また、形も丸だけでなく四角やハート型なども見かけるようになり、高級食材店「ラ・グランド・エピスリー」では、キャンディー型のガレットも見かけた。
フランス南部のガレットは、フィユタージュ生地でなくブリオッシュ生地にフルーツコンフィをたっぷりあしらって、リング型に焼き上げたものが主流。パリでもここ10年ほどで、こちらの南仏タイプもかなり多く見かけるようになった。
毎年注目される名店パティスリーの新作ガレットだが、今年とりわけ秀逸なのが「ルノートル」。ブリオッシュ生地にアーモンドとオレンジフラワーを香らせ、オレンジフラワー風味のフランを重ね、上は軽くカラメリゼさせたフィユタージュ生地。表面の模様はアラベスクで見た目の美しさも格別。人気香水メゾン「フラゴナール」とのコラボ作品で、フェーヴは香水の材料になる花のモチーフでペンダントトップになっている。
大人気アイスクリーム店「ユヌ・グラス・ア・パリ」は、自慢の氷菓をガレットに変身。フィユタージュ生地で、ピスタチオのアイスクリーム、オレンジが香る柔らかな生地、メレンゲ、オレンジコンフィを挟み込んだ。さっとオーブンで温めると、あたたかいフィユタージュと冷たいアイスクリームの温度差が楽しめる。
来年はどんな素敵で美味しい新作ガレットが登場するのか、今から心待ちにしたい。