2015.11.16 update
vol.92
ひんやりアイスと温かなソースの美味しさ「プロフィットロール」
プロフィットロールは、フランスのビストロの定番デザートの一つ。シュー皮でバニラアイスクリームをはさみ、上から温かなチョコレートソースをたっぷりかけたもの。ソースの熱でアイスクリームがとろけていくところをパクッと食べると、熱くて冷たい美味しさが口の中に広がる。
その歴史は16世紀にまで遡り、ポタージュに浸した小さな丸いパンが起源だそう。19世紀にフランス料理&菓子史上の大家アントナン・カレームが、シュー生地にクレームパティシエールやホイップクリームを詰めたものが、お菓子としてのプロフィットロールの原点になったそうだ。そんなプロフィットロールの専門店が、2014年12月、マレ地区に誕生した「プロフィトロール・シェリ」だ。
仕掛け人は、フィリップ・ウラカ。1994年にMOF(フランス最優秀職人)のタイトルをパティシエ部門で獲得している。現在はMOFパティシエ協会のトップとしても活躍する、パティスリー界の大御所の一人だ。「誰もが大好きなプロフィットロール。ビストロでよく見かけるが、アイスクリームや熱いソースを使うのでパティスリーではまず見かけない。このお菓子の魅力を手軽に広く伝えたかった」とウルカシェフは語る。
ピンクを基調にした可愛らしいお店に入ると、目の前にアトリエが広がる。そもそもがデザートであるプロフィットロールは、作りたてこそが美味しい。45分ごとに店内で焼き上げる、クランブルをトッピングしてカリカリ感を加えて食感をよくしたシュー生地は常にフレッシュ。オーダー後、シューをカットして紙カップに入れ、アイスクリームをサンドし、チョコレートソースをかけて完成。
紙カップ入りにしたのは、テイクアウトで食べ歩きも楽しめるようにするためだ。持ち帰り用のボックスはドライアイスを使用し、ソースは小さなカップで別に添えられるデザインで、家でもプロフィットロールの美味しさを楽しめる。
定番の、バニラアイスクリーム&チョコレートソースのほか、キャラメルアイスクリーム&キャラメルソース、マロンアイスクリーム&カシス&生クリーム&マロンソースなどのバリエーションも。また、プロフィットロールの始まりはクリームなどのフィリング、という歴史から、バニラクリーム&チョコレートソースや、オレンジクリーム&オレンジコンフィ&キャラメルソース、プラリネクリーム&チョコレートノワゼットソースなど、アイスクリームを使わないパティスリー的な味のものも提案している。
可愛らしさと美味しさを兼ね備えた作りたてのプロフィットロール。おしゃべりを楽しみながらのイートインもいいし、パリらしい街並みが連なるマレ地区の散歩を楽しみながら頬張るのもいい。