2015.5.18 update
vol.86
フランスがショコラ一色に染まる
パック(復活祭)
クリスマスのビュッシュ・ド・ノエルやエピファニー(公現祭)のガレット・デ・ロワなど、キリスト教の歳時にちなんだお菓子が多いフランスだが、パック(復活祭)のショコラも歳時菓子の代表だ。
キリストの復活を祝すパックは移動祝祭日で、今年は4月5日。連想ゲームで“パックと言えば?”と問えば、答えは間違いなく“ショコラ”だろう。伝統的にパックには、復活のシンボルである卵をはじめ、雌鶏やウサギといった多産のシンボルをかたどったショコラを食べる。パックに先立つ2〜3週間、パティスリーやショコラトゥリーのショーケースは、ショコラ一色に染まる。フランスで一番ショコラが売れる時期は、ノエルそしてこのパックの時期だ。
一口サイズの卵形プラリネを、大きめの卵形やウサギ型のショコラの中に詰めたものが、パックショコラの定番。
これをベースに、トップショコラトゥリー&パティスリーは、毎年のように新作のパックショコラオブジェを発表する。
ビュッシュ・ド・ノエル、ガレット・デ・ロワ同様、今年は誰がどんな新作を発表した、とメディアでも大きな注目を浴びている。
老舗パティスリー「ルノートル」の今年のテーマは、大人向けは“幸福のシンボル”で、子供向けは“宝島”。
てんとう虫や四葉のクロバーといったラッキーチャームをあしらった卵形のショコラオブジェと、卵のフォルムを上手に使ったクマやゴクラクチョウなどのショコラオブジェで、かわいらしい海賊と宝島のイメージを披露した。
気鋭のショコラトゥリーパティスリー「ユーゴ&ヴィクトー」は、“海”がテーマ。
精巧なデザインの卵オブジェは、食べるのが惜しいほどの美しさで、人気を集めた。
ここ数年は、ショコラだけでなく、パックにちなんだお菓子が増えて来ているのも注目だ。
「ユーゴ&ヴィクトール」は、春が旬のイチゴやコリアンダーの花に卵形ショコラをあしらったタルトを、名門「ラデュレ」は、卵色の柚子クリームにチャーミングな花形のショコラを乗せた作品を提案するなど、パックお菓子の競演も必見。
ショコラだけでなくお菓子も気になる、食いしん坊にはたまらない春の甘い歳時イベントだ。