Paris Report パリのグルメ情報満載 パリレポート

2014.6.16 update

vol.75
タルト・トロペジエンヌの誕生逸話

フランスの食文化を専門とする、パリ在住のフリーのライター兼コーディネーター。インターネットでフランスのレストランについての情報を発信し、レストラン選択のアドヴァイスなどを提供。

フランスにはいくつもの地方や都市に、素敵な誕生逸話を持つオリジナル菓子がある。そそっかしいタタン姉妹が生み出したラモット・ボーヴロン発祥のタルト・タタン。ワイン造りで卵白を使い、その際余った卵黄を使って作られたと言われるボルドーのカヌレ。そして、南仏の超高級リゾート地サン・トロペで生まれたタルト・トロペジエンヌもまた、魅力的な生い立ちを持つ菓子だ。

タルト・トロペジエンヌの誕生逸話 イメージ1

登場人物は2人。まず1人目は、ポーランドからサン・トロペに移民してきたパティシエ、アレクサンドル・ミカ。1955年にこの町にパティスリーを開いたミカは、祖母がよく作っていた、クリームを挟んだブリオッシュを、故郷を懐かしんで作り、店頭に並べた。
そして2人目は、この年、映画「素直な悪女」の撮影のためこの町に滞在していた若き女優ブリジット・バルドー。バルドーはこの菓子を大いに気に入り、ミカに、まだ名前がついていなかったこの菓子に“タルト・ド・サン・トロペという名前はどお?”と提案し、最終的にタルト・トロペジエンヌという名前に落ちついたそうだ。当時のサン・トロペは、今のような世界中からジェットセッター達が集うラグジュアリー・リゾートではなく、しなびた漁村。そこで出会ったポーランド出身のパティシエとフランスの駆け出し女優が、フランスを代表する菓子を生み育てたのだ。

タルト・トロペジエンヌの誕生逸話 イメージ2
タルト・トロペジエンヌの誕生逸話 イメージ2

本拠地サン・トロペと南仏に数件のブティックがあるが、2013年、パリにブティックをオープン。
ザラメ砂糖をまぶしたブリオッシュに、クレーム・パティシエールとクレーム・ブールを混ぜたクリームをフィリングしたタルト・トロペジエンヌは、定番サイズの他、食べ歩きにぴったりなミニサイズ、アントルメサイズも用意。夏にはフレッシュフランボワーズを加えたものも登場する。

さらに、この春からはクリームの種類も増え、カフェ、プラリネ、ショコラ、ピスタチオ味も仲間入りした。看板商品タルト・トロペジエンヌの他、エクレール、ピュイ・ダムールなど本店の人気菓子も並べている。
真っ青な海辺で生まれた素朴な菓子。その誕生に思いを馳せながら、バルドー気取りでこの菓子を味わってみよう。

タルト・トロペジエンヌの誕生逸話 イメージ4
Infomation レポートに出てきたお店などを紹介します
La Tarte Tropéziennne
3 rue de Montfaucon 75006 Paris
01 43 29 09 81
10h30-19h30(日は-18h30)
無休

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