Paris Report パリのグルメ情報満載 パリレポート

2014.11.17 update

vol.80
焼きたてバゲッド販売マシーン「パニ・ヴェンディング」

フランスの食文化を専門とする、パリ在住のフリーのライター兼コーディネーター。インターネットでフランスのレストランについての情報を発信し、レストラン選択のアドヴァイスなどを提供。

24時間いつでも、焼きたてでほんのりあたたかく、皮はぱりっと中はもっちりしたフレッッシュなバゲットが手に入る。そんな理想を実現化してくれるのは、バゲッド販売マシーン「パニ・ヴェンディング」だ。
マシーンを誕生させたのは、ロレーヌ地方出身のブーランジェ、ジャン=ルイ・エシュト。店が閉まっている時間にも焼きたての美味しいバゲッドを提供したい、と2001年に開発した。それまでも、焼き上げたバゲットを販売するマシーンはあったが、数時間後には冷えて固くなってしまい、焼きたてバゲットの美味しさは望めなかった。が、氏が開発した「パニ・ヴェンディング」は違う。システムは以下の通りだ。

焼きたてバゲッド販売マシーン「パニ・ヴェンディング」 イメージ1

まず、バゲットを普通に店の釜で12分間焼く。この段階で、「パニ・ヴェンディング」の一部をなす冷蔵庫で保存。約120本をストックでき最大72時間の保存が可能、時間を過ぎたものは破棄する。といっても、ほとんど破棄はないそうだ。
マシーン内にオーブンがあり、冷蔵庫のバゲットが自動的に送られて8分間の加熱。焼き上がり後はマシーン内に保存され、通りに面したマシーン表面から客がコインを入れてオーダーをすると、バゲットが出てくる仕組み。マシーン表面の表示板には、その時点で保存されている焼き上がったバゲットの数、オーブンに入っている数と焼き上がりまでの時間も表示されている。

焼きたてバゲッド販売マシーン「パニ・ヴェンディング」 イメージ2
焼きたてバゲッド販売マシーン「パニ・ヴェンディング」 イメージ2

バゲットは、フランス人にとっては、日本人にとっての白米。夕食の必要不可欠アイテムだが、20時には閉まってしまうブーランジュリーで焼きたてを毎日買うのは、仕事帰りにはなかなか大変。売り切れのときだってある。もっと遅い時間や日曜日にも、いつでも焼きたてバゲットを買いたい、という希望に答えたマシーンは、利益効率も非常に高く、ブーランジュリー界で大注目を浴び、フランスはもとより世界中から問い合わせが来ているそうだ。

写真は、この10月にパリ15区に設置された「パニ・ヴェンディング」。設置したのは昔ながらのパティスリーで、パンは作っていない。8区にあるブーランジュリーで下焼きしたビオのバゲットを配達してもらっている。値段は1ユーロ。ビオバゲットとしてはごく良心的な値段だ。静かで商店も少ない道だが住人は多い住宅街。口コミで評判が広がり、今は、一日150〜200本が売れているという。
今後パリ市内での設置数を本格的に増やすそうで、パリのバゲット販売の主流ルートの一つになりそうだ。

焼きたてバゲッド販売マシーン「パニ・ヴェンディング」 イメージ4
Infomation レポートに出てきたお店などを紹介します
パニ・ヴェンディング設置場所
32 rue Paul Barruel 75015

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